高齢者への癒やしケア(タッチケア) | 高齢者の活動援助【1】
「高齢者の癒やしケア(タッチケア)」の目的
癒しのケアであるアロマテラピー(芳香療法)とタッチケア(触れるケア)は、高齢者の心身の緊張を解きほぐし、不安やストレスを緩和する目的で行う
「高齢者の癒やしケア(タッチケア)」の効果
タッチケアは、看護師の手のひらを高齢者の皮膚に密着させ、柔らかく、ゆったりとした動きで触れることにより、心地よさと安心を伝えることができる
「高齢者の癒やしケア(タッチケア)」の禁忌
●アロマオイルを使用してマッサージする場合は、アレルギー反応が出現することもあるためパッチテストが必要
● 皮膚の炎症・関節炎・静脈炎などの炎症を起こしている部分は避ける
「高齢者の癒やしケア(タッチケア)」の必要物品
- 保湿用クリーム
- 精油(ローズマリー・レモン)
- アロマディフューザー
- バスタオル
「高齢者の癒やしケア(タッチケア)」の実施手順
(1)患者さんへ目的・方法等を説明し同意を得る
(2)アロマディフューザーの中の水に精油を入れる。タッチケアを実施する前に香りを感じてもらうと、リラックス効果がある
ポイント
レモン:気持ちを高揚する効果あり
ラベンダー:安眠・リラックス効果があり
(3)バスタオルを敷き、患者さんの両手を置く
(4)バスタオルの両端を使い、手を片手ずつくるむ
(5)手首から指先に、包み込むように数回触れる
(6)手の甲を3回に分け、中心から外側へ触れる
(7)手の甲と掌の間をはさみ、軽く包むように触れる
(8)5本の指を一本ずつ、指全体を軽く包むように触れる
(9)両手で手首から指先に向かって数回ゆっくり滑らせる
(10)両手で包み込み、手を返して掌を上に向け、掌全体を親指を滑らせるように触れる
(11)時計まわりに小さな円を描きながら、掌全体に触れる。これを2回繰り返す
(12)手を密着させ、指先に向かって動かす。反対の手は、患者さんの手を下から包み込む。これを3回繰り返す
(13)手を包んで返し、手の甲を上に向け、手首に小さな円を描くように撫でる。掌は人差し指と中指で撫でる
(14)手をゆっくりと包み込むように触れる。一連のケアを10分間かけて行う
(15)終了後、タオルで包んだ患者さんの両手に手を添える
【出演】
市川砂織(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
田地奏恵(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
森下純子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 非常勤講師)
【引用・参考文献】
(1)木本明恵(著):在宅・施設で生かす看護師が行う“手を当てる”ケア,日本看護協会出版会,2012:066-094.
(2)鈴木宏子(翻訳者):プロフェッショナルアロマセラピー,ガイアブックス,2010:234-237.