関節の拘縮予防訓練(高齢者向け) | 高齢者の活動援助【2】
【監修】
山本君子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 教授)
【執筆】
太田淳子 (杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
「関節の拘縮予防訓練(高齢者向け)」の目的
●日常生活動作、移乗・移動動作に必要な関節可動域の維持・拡大
●関節受容器への刺激による運動感覚、位置感覚の維持
●血液循環の改善
「関節の拘縮予防訓練(高齢者向け)」の適応
●長期の不動状態で拘縮の危険性がある患者さん
「関節の拘縮予防訓練(高齢者向け)」の禁忌
●安静時に脈拍数が100回/分以上の場合
●安静時に息切れ、呼吸困難、胸痛がある場合
●痛み、炎症のある関節部位
●異所性骨化形成のある関節部位
「関節の拘縮予防訓練(高齢者向け)」の準備
(1)関節の拘縮予防訓練を行う前に、患者さんの観察を行う
■患者さんの観察ポイント
- 意識レベル
- バイタルサイン
- 気分不良の有無
- 関節可動域
- 疼痛の有無
(2)実施前に必ず関節可動域を確認する
(3)患者さんに目的・方法を説明し、同意を得る
(4)痛みを感じたら、すぐ看護師に伝えてもらうようにする
(5)転倒防止のため、柵の有無などを確認する
(6)股関節を内外転・内外旋の中間位にする
(7)片方の手でかかとを、もう片方の手をひざに当て、固定する
(8)股関節と膝関節を約10秒かけて曲げる
ポイント
腕の力ではなく体重移動を利用する。腕の力だと皮膚が引っ張られ、損傷を起こす可能性がある
(9)右足×5回 左足×5回ずつ、痛みの無い範囲で行う
ポイント
筋肉をゆっくり伸張しながら、ストレッチングする
(10)終了後、患者さんに疼痛や気分不良の有無を確認する
(11)最後に、安楽な状態を確認し、終了
【出演】
市川砂織(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
田地奏恵(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
森下純子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 非常勤講師)
【引用・参考文献】
(1)鈴木俊明(監修):運動器疾患の評価と理学療法 第2版.アイペック,東京,2015:282-303.
(2)奈良勲,浜村明徳(編):拘縮の予防と治療 第2版.医学書院,東京,2008.
(3)Bob A. Anderson(著),小室史恵,杉山ちなみ(監訳):ストレッチング,ナップ,東京,2002
(4)亀井智子(編集):根拠と事故防止からみた老年看護技術.医学書店,東京,2012.
(5)武田宜子他(著):系統看護学講座 別巻 リハビリテーション看護.医学書院,東京,2015.