輸血の管理方法 | 輸血【1】
【監修】
山本君子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 教授)
【執筆】
加治美幸 (杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 講師)
「輸血の管理」についての注意点
●輸血の取り扱いを誤ると、重大な医療事故になる
●血液製剤は種類によって保存温度や保存方法が異なるため、取扱いに注意が必要
「輸血の管理」における必要物品
- 交差試験適合証
- 血液製剤
- 輸血指示書
- 輸血用血液支給票
- 採血セット(注射針・シリンジ)
- 輸血同意書
輸血の管理方法
(1)【医師】輸血の目的・必要性・リスクを説明する
(2)【看護師】患者さんの輸血に対する理解度を確認する
(3)【医師】患者さんの同意を得て、同意書に署名・捺印をもらう
(4)【医師】患者さんの血液型を確認し、輸血部に血液製剤を申し込む
(5)【看護師】交差適合試験用の採血を行う
交差適合試験…患者さんと輸血の適合性を調べる試験のこと
(6)【看護師】検体を輸血部に提出し、交差適合試験を依頼する
(7)【看護師】必要書類と専用ケースを持って輸血部に向かう
(8)【看護師】輸血部スタッフとダブルチェックを行う
■ダブルチェックするもの
- 交差試験適合票
- 添付伝票
- 血液製剤
(9)【看護師】血液製剤を病棟に持ち帰る
代表的な血液製剤の運搬方法・保存方法まとめ
●赤血球製剤:赤血球濃厚液-LR(RCC-LR)
【運搬】すぐに使用するのであれば、常温での運搬が可能
【保存】すぐに使用しない場合は、2~6℃の冷所で保存
【留意点】通常は加温せずに輸血するが、急速大量輸血などでは専用加温器(37℃)で加温して用いる
●血小板製剤:照射濃厚血小板-LR(PC-LR)
【運搬】常温で運搬する
【保存】20~24℃で緩やかに「水平振とう」または「水平回転振とう」して保存する
【留意点】輸血部門から血液製剤を受けとったあとは、できるだけ早く使用する。すぐに使用しない場合は、血小板振とう器で振とうさせる
●血漿製剤:新鮮凍結血漿-LR(FPP-LR)
【運搬】保冷剤とともに運搬する
【保存】-20℃以下で保存する
【留意点】30~37℃の恒温槽で急速に融解し、3時間以内に使用する。恒温槽に入れる際は、ビニール袋に入れバックが濡れないようにする
【出演】
市川砂織(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
田地奏恵(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
森下純子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 非常勤講師)
【引用・参考文献】
(1)室井一男 他(著):看護技術がみえるvol.2臨床看護技術,メディックメディア,東京,2013:174-188.
(2)小林優子(著):系統看護学講座 専門分野Ⅰ 基礎看護技術Ⅱ 基礎看護学③,医学書院,東京,2013:322-327.
(3)肥後すみ子(著):新体系 看護学全書 基礎看護学③ 基礎看護技術Ⅱ,メヂカルフレンド,東京,2014:299-307.
(4)厚生労働省:輸血療法の実施に関する指針(改訂版)(2016/01/21アクセス)
(5)厚生省薬務局:血液製剤保管マニュアル」(平成5年9月16日)(2016/01/21アクセス)
(6)日本赤十字:輸血の実施.(2016/01/21アクセス)