胃ろう・腸ろうの設置~栄養剤注入 | 胃ろう(PEG)・腸ろう【1】
【監修】
山本君子(杏林大学保健学部看護学科 教授)
【執筆】
市川砂織(杏林大学保健学部看護学科 助教)
「胃ろう・腸ろうの管理(栄養剤注入)」の目的
●下痢、嘔吐や胃食道逆流による誤嚥など合併症をおこさず、安全に経腸栄養投与ができる
●カテーテル汚染による閉塞や細菌感染をおこさない
「胃ろう・腸ろうの管理(栄養剤注入)」の必要物品
- 10倍希釈酢水(水10:酢1)
- 白湯(適量)
- 指示された栄養剤
- 経腸栄養バッグ
- カテーテルチップシリンジ(50cc)
- 手袋
「胃ろう・腸ろうの管理(栄養剤注入)」の実施手順
(1)衛生的手洗いをし、手袋を装着する
(2)栄養バッグの準備をする
(3)栄養剤が冷温でないか、自らの腕などで確かめる
(4)栄養バッグに栄養剤を清潔に入れる
ポイント
注入前に腹痛、便秘、嘔気など患者さんの状態観察を行ったうえで実施する
(5)クレンメを開き、ルートを満たす
(6)患者さんの体位を30度または90度坐位にする
ポイント
胃食道逆流、およびそれに引き続く誤嚥の予防のために、患者さんの体位を整えることは重要
(7)患者さんの着衣を開き、胃ろうを露出させる
(8)胃ろうカテーテルと栄養剤投与ルートを接続する
(9)クレンメを開き、指示された滴下速度で滴下を開始する
(10)注入終了後30~60分は患者さんの体位をそのままに保つ
(11)注入中30分に1度は訪室し、観察する
■患者さんの観察ポイント
- 嘔吐の有無
- 腹部膨満の有無
- 下痢の有無
- 食道逆流の有無
- 急な咳込みなど、誤嚥の兆候の有無
- 姿勢が崩れていないか
- 接続部のゆるみやルートの屈曲はないか
【出演】
市川砂織(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
田地奏恵(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
森下純子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 非常勤講師)
【引用・参考文献】
(1)飯島正平編:栄養管理手技マニュアル. メディカ出版,2013.
(2)日本静脈経腸栄養学会:静脈経腸栄養ガイドライン第3版. 照林社,2013.
(3)岡田晋吾監修:胃ろう(PEG)のケアQ&A. 照林社,2009.
(4)看護技術がみえる. メディックメディカ,2014.