骨髄穿刺の介助 | ドレーン・検体検査【4】
【監修】
中島恵美子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 教授)
【執筆】
森下純子 (杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 非常勤講師)
「骨髄穿刺」の目的
●造血器疾患の診断・病態の把握
●治療効果の評価
●悪性腫瘍の骨髄転移の有無の鑑別
「骨髄穿刺」の適応
末梢血の増減あるいは末梢血に異常細胞を認め、血液疾患が疑われる場合や悪性腫瘍の骨髄転移が疑われる場合は、広く適応となる
「骨髄穿刺の介助」の禁忌
●血友病などの凝固異常症の場合には深部出血をきたすことがあり、得られる情報が少ないため禁忌とされている
●高齢者の多発性骨髄腫などで骨が脆くなっている場合には、適応をはっきりさせ慎重に行う
●放射線療法の後には骨髄抑制をきたす。放射線が照射された領域からは骨髄を採取しないことが多い
「骨髄穿刺」の必要物品
- 消毒液
- 膿盆
- 穴あき滅菌ドレープ
- 局所麻酔薬
- 絆創膏
- 注射針(18,23G)
- 注射器(5,20mL)
- 鑷子
- 骨髄穿刺針
- 専用スピッツ(骨髄穿刺用小チューブ)
- マーカーペン
- 滅菌ガーゼ
- 固定用テープ
- 滅菌ガウン
- キャップ
- サージカルマスク
- 滅菌手袋
「骨髄穿刺」の実施手順
(1)患者さんさんに骨髄穿刺の必要性と流れを説明する
(2)侵襲度が高い検査のため、患者さんさんに十分な説明を行う
ポイント
骨髄の検査は侵襲を伴い、針で骨を貫く検査で、患者さんさんの不安も大きいため、事前に十分な説明を行う必要がある
(3)検査前に排尿を済ますよう促し、バイタルサイン測定を行う
■出血傾向が強い場合の対処法
- 検査後の止血・圧迫を実施する
- 経過観察を長めに実施する
(4)処置用シーツ敷き、必要な体位をとってもらう
(5)消毒介助を行う。医師が消毒をし、患者さんに穴あき滅菌ドレープをかける
(6)局所麻酔の介助を行う
(7)針先が血管内に入っていないことを確認する
(8)医師が穿刺を実施する。穿刺中は、患者さんさんの状態を把握し、声掛けを行う
ポイント
●穿刺中は不必要な露出は避け、保温に注意し、体位保持の介助を実施する
●疼痛・顔色・脈拍・呼吸状態などの異常があれば医師に報告する
●医師は穿刺の手技に集中しているため、看護師は患者さんの観察を怠らないことが重要である
●骨髄液を専用容器に注入し混和させた後、所定の場所に提出する
(9)抜去後、医師に滅菌ガーゼを手渡し、圧迫止血を介助する
(10)検査終了を伝え、患者さんさんに血が止まるまで動かないように説明する
(11)止血後、穿刺部位を滅菌ガーゼで固定する
(12)バイタルサイン測定後、症状の有無を確認する
■症状の確認ポイント
- 腸骨の場合:穿刺部位が下になるように仰臥位や側臥位にする
- 胸骨の場合:必要時に砂嚢を使用する
【出演】
市川砂織(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
田地奏恵(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
森下純子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 非常勤講師)
【引用・参考文献】
(1)福井次矢 他(編):体腔穿刺.三輪書店,東京,2000.
(2)真弓俊彦(編):ビジュアル基本手技 コツを覚えて必ずできる!体腔穿刺.羊土社,東京,2008.
(3)北村 聖 (編集):血液・造血器疾患 第2版 看護のための最新医学講座 第9巻.中山書店,東京,2006.
(4)竹田津文俊(監修):NURSING SELECTION 5巻 血液・造血器疾患.学研,東京,2002.
(5)須永真司(著):病態生理がわかればケアがわかる みるみるナットク血液疾患.文光堂,東京,2011.
(6)池田康夫,押味和夫(編集):標準血液病学.医学書院,東京,2000.
(7)ナースモ:骨髄穿刺の看護技術.(2016/02/02アクセス)
(8)ココナス:看護技術,骨髄穿刺.(2016/02/02アクセス)
※編集部註※
当動画および記事は、2016年04月18日に公開した時点で、必要物品の画像等に一部誤りがございました。
2018年7月9日に正しい情報に修正いたしました。訂正してお詫び申し上げます。