腹腔穿刺の介助 | ドレーン・検体検査【2】
【監修】
中島恵美子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 教授)
【執筆】
森下純子 (杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 非常勤講師)
「腹腔穿刺」の目的
●腹腔内に液体貯留が認められ、病態把握のためその性状を確認する
●腹水貯留がある場合、苦痛の軽減や全身状態の改善を図る
●腹腔内に直接抗生物質や抗癌薬などを注入する
「腹腔穿刺」の適応
●腹腔穿刺による検査を必要とする患者さん
●肝硬変・がん性腹膜炎を患う患者さんなど
「腹腔穿刺」の禁忌
●広範な腸管癒着が予想される場合
●腸管の著明な拡張を認める場合
●妊婦
「腹腔穿刺」の必要物品
- 延長チューブ
- 排液用ボトル
- 消毒液
- 穴あき滅菌ドレープ
- 膿盆
- 局所麻酔薬
- 三方活栓
- 注射針(18,23G)
- 注射器(5,20mL)
- 鑷子
- 腹腔穿刺針
- スピッツ
- マーカーペン
- 滅菌ガーゼ
- 保護フィルム
- メジャー
- 固定用テープ
- 滅菌ガウン
- キャップ
- 穴あき滅菌ドレープ
- サージカルマスク
- 滅菌手袋
「腹腔穿刺」の実施
(1)穿刺部位の周囲を広く開ける
(2)処置用シーツを敷いておく
(3)水平仰臥位になってもらい、穿刺部位の選定後、皮膚の消毒の介助を行う
(4)局所麻酔の介助を行う
(5)医師が注射器で薬液を吸いやすいよう介助する
(6)腹腔穿刺の介助を行う。穿刺を施行したら、指示により排液を滅菌スピッツに採取する
ポイント
腹腔内感染を予防するため安全かつ清潔に介助を行う
ポイント
肝硬変患者の場合、肝炎ウィルスを所有している可能性があるため、看護師自身も感染しないよう注意する必要がある
(7)腹水を排液させる
(8)三方活栓と延長チューブを接続し、自然落下させる
(9)排液速度、排液量、性状の観察を行う
(10)バイタルサインを測定する
(11)最後に、気分不快の有無を確認する
(12)汚染した部位がある場合、清拭する
【出演】
市川砂織(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
田地奏恵(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
森下純子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 非常勤講師)
【引用・参考文献】
(1)福井次矢 他(編):体腔穿刺.三輪書店,東京,2000.
(2)真弓俊彦(編):ビジュアル基本手技 コツを覚えて必ずできる!体腔穿刺.羊土社,東京,2008.
(3)公益社団法人日本産科婦人科学会(編):日産婦誌 2007;59(6):150-151.(2016.01.04アクセス)
(4)高木康(編著):新訂版 看護に生かす検査マニュアル.サイオ出版,東京,2015:160-161.