胸腔ドレーンの挿入時の介助 | ドレーン・検体検査【1】
【監修】
中島恵美子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 教授)
【執筆】
森下純子 (杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 非常勤講師)
「胸腔ドレーン挿入」の目的
●胸腔内に空気・液体が貯留したときに胸腔外に排気する
●排気、排液によって、胸腔内を生理的状態に近づける
「胸腔ドレーン挿入」の適応
●自然気胸、外傷性気胸、医原性気胸など
●血胸、胸水貯留、開胸術後など
「胸腔ドレーン挿入」の禁忌
●血小板や凝固機能の障害がある場合には、ドレナージによる効果と出血性合併症のリスクを検討し、判断する
「胸腔ドレーン挿入」の必要物品
- 滅菌手袋
- 消毒液
- 膿盆
- 穴あき滅菌ドレープ
- 局所麻酔薬
- 固定用の針・糸
- 局所麻酔用の穿刺針(18G,23G)
- マーカーペン
- 滅菌ガーゼ
- 剪刀
- 縫合セット(まがりペアン)
- 注射器(5mL,10mL)
- 鑷子
- トロッカーカテーテル
- トロッカーアスピレーションキット
- チェスト・ドレーン・バッグ
- 滅菌ガウン
- キャップ
- 滅菌消毒セット
- マスク
- 手袋
- 滅菌手袋
「胸腔ドレーン挿入」の実施手順
(1)患者さんに胸腔ドレーン(ドレナージ)の目的・内容を説明し、同意を得る
(2)処置中は動かず、痛みが生じた場合は手で合図するよう説明する
(3)検査前に排泄を促し、バイタルサインの測定を行う
(4)チェスト・ドレーン・バックの準備を行う
(5)穿刺部位の周囲を広く開ける
(6)穿刺部位のマーキングの介助を行う
(7)皮膚消毒の介助を行う(医師が消毒後、穴あきドレープをかけるので、その介助を行う)
(8)局所麻酔の介助を行う。医師が局所麻酔薬を吸いやすいように介助する
(9)【医師】局所麻酔薬を切開部に注射する
(10)患者さんに声掛けをしながら、状態を観察します
■観察ポイント
- 顔色
- 脈拍
- 血圧
- 冷汗
- チノアーゼ
- 咳嗽
- 胸痛
- 呼吸困難
(11)【医師】皮膚を切開し、ドレーンを挿入する
(12)ドレーン固定の縫合介助を行う
(13)穿刺部の消毒・ガーゼ保護・ドレーンのテープ固定を行う
(15)汚染した部位がある場合、清拭する
(16)最後に、チェスト・ドレーン・バックの排気・排液の性状・量などを確認する
【出演】
市川砂織(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
田地奏恵(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
森下純子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 非常勤講師)
【引用・参考文献】
(1)福井次矢 他(編):体腔穿刺.三輪書店,東京,2000.
(2)真弓俊彦(編):ビジュアル基本手技 コツを覚えて必ずできる!体腔穿刺.羊土社,東京,2008.
(3)清水潤三,曽根光子(著):はじめてのドレーン管理,メディカ出版,大阪,2007.
(4)高岡勇子(編集)これでナットク!「胸腔ドレーン」管理.Expert Nurse Vol.31 No.2,照林社,東京,2015.
(5)北島政樹,桜井健司(編):外科手術と術前・術後の看護ケア.南江堂,東京,2004.