薬剤の管理方法 | 薬剤管理【5】
【監修】
山本君子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 教授)
【執筆】
加治美幸 (杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 講師)
「薬剤の管理方法」の注意点
薬剤を安全に投与するために、薬剤は適切な温度や状態で管理する必要がある
薬剤の保管方法を誤ると、有効成分が分解・変質することがあるため、注意が必要
薬剤は種類によって保存温度や保存方法が異なるため、取扱いに注意が必要
「薬剤の管理方法」手順
(1)薬剤の医薬品添付文書の貯法を確認する
(2)医薬品の容器・外箱の使用期限を確認する
(3)外観上の異常・変化がないか確認する
(4)薬剤の貯法に従い、薬剤を適切に管理する
タイプ別 薬剤の管理方法
注意すべきタイプはおもに3つ
- 温度管理が必要な薬剤
- 遮光管理が必要な薬剤
- 湿度管理が必要な薬剤
■温度管理が必要な薬剤の最適保存温度
温度管理が必要な薬剤は、指定された温度で管理する
- 標準温度保存:20℃
- 常温保存:15~25℃
- 室温保存:1~30℃
- 微温保存:30~40℃
- 冷所保存:1~15℃(特に指定のない場合)
●坐薬の保管方法
冷所(1~15℃)で保管する
※注意事項※
室温が高いと基材の油脂が軟化し、形状が変わってしまう場合あり
●インスリンの保管方法
冷所(1~15℃)で保管する
※注意事項※
長時間、高温に放置した場合、蛋白質が変性してしまうため、インスリンは冷所で保存するように徹底する
●ワクチンの保存方法
添付文章を確認のうえ、冷所(1~15℃)で保存
※注意事項※
保管温度を逸脱すると、有効性・安全性に影響が出る
■遮光管理が必要な薬剤・保管方法
遮光包装・褐色の遮光容器に充填して保管する。保管だけでなく調整時・与薬時も遮光が必要
●ビタミン剤の保存方法
遮光で保管する
※注意事項※
ビタミンは光で死活するため、輸液配合後も遮光カバーがされているか確認する
■湿度管理が必要な薬剤・保管方法
気密容器・密封容器に入れて保存
【出演】
市川砂織(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
田地奏恵(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 助教)
森下純子(杏林大学保健学部看護学科看護学専攻 非常勤講師)
【引用・参考文献】
(1)厚生労働省:第十六改正日本薬局方(平成23年3月24日厚生労働省告示第65号)(2016/01/26アクセス)
(2)浦部晶夫 他 (編集):今日の治療薬 解説と便覧 2015,南江堂,東京,2015:452.
(3)小林優子 他(執筆):看護学講座 専門分野Ⅰ 基礎看護技術Ⅱ 基礎看護学③,医学書院,東京,2013:276-277.
(4)五味田裕(監修):臨床場面でわかる!くすりの知識,南江堂,東京,2013:154-208.