穿刺部位 | 中心静脈カテーテル(中心静脈栄養法)【1】
【監修】
東京労災病院 看護部
中心静脈カテーテル(CVC:central venous catheter)とは
上大静脈、下大静脈などの太い静脈に挿入するカテーテルのこと
中心静脈カテーテルのおもな目的
●末梢静脈経由では困難な場合の輸液
●高カロリー輸液
●急速な大量輸液 など
おもな穿刺部位
●内頸静脈(ないけいじょうみゃく)
●鎖骨下静脈(さこつかじょうみゃく)
●尺側皮静脈(しゃくそくひじょうみゃく)
●大腿静脈(だいたいじょうみゃく)
以上の部位から、それぞれの利点と欠点を理解して選択します。
内頸静脈
内頸静脈は気胸の合併が発生する可能性が少ないという利点がありますが、鎖骨下に比べて常在菌の数が多く、気道分泌や頭髪、ヒゲなどによる汚染が考えられます。また、首が動くことによってカテーテルが屈曲する可能性もあります。
鎖骨下静脈
鎖骨下静脈は固定性が良く、首を動かしてもカテーテルの屈曲に影響しにくい利点がありますが、その反面主要な合併症として気胸を起こす可能性があります。
尺側皮静脈
尺側皮静脈は気胸や血胸などの合併が少なく、カテーテルのタイプによってはヘパリンロックを必要としない利点はありますが、その反面、肘を曲げることにより、滴下の状態が変動する可能性がある上、カテーテルが上大静脈以外に迷走してしまう危険性があります。
大腿静脈
大腿静脈は穿刺時の合併症が少なく、心肺蘇生中に穿刺する場合などに選択されます。ただし、陰部からの感染の可能性が高く、下肢の運動が制限されることによる深部静脈血栓の危険性があり、管理が難しい挿入部位と言えます。