人工呼吸療法中の体位変換

『本当に大切なことが1冊でわかる呼吸器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は人工呼吸療法中の体位変換について解説します。

 

 

勅使河原育美
さいたま赤十字病院ICU看護師
呼吸療法認定士

 

 

人工呼吸療法中の患者さんは、鎮静薬などで寝たきりの状態であることが多く、自力で手足が動かせない場合があります。体位変換は、人工呼吸器関連肺炎(VAP)や廃用症候群、褥瘡形成の予防のために必要です。

 

拘縮やADL低下予防のため、体位変換実施のタイミングごとに、関節可動域(ROM;range of motion)訓練や肩まわしなどのストレッチ運動を加えると、患者さんの安楽や、呼吸に関連する筋肉がほぐれることで換気量の増加につながります。

 

体位変換時の注意点

人工呼吸器を装着中の患者さんは、鎮静薬の投与などのため複数の点滴ラインを挿入している場合が多いです。挿管チューブ点滴ラインの事故抜去に注意する必要があります(図1)。

 

図1 人工呼吸療法中の体位変換の方法(2人以上で実施)

人工呼吸療法中の体位変換の方法

 

 

人工呼吸療法中の患者さんは、呼吸状態に問題がある場合が多く、体位変換により呼吸状態循環動態が悪化する可能性があります。

 

体位変換の前後でバイタルサインに変動がないか確認します。変動があった場合は、体位変換によるものなのか、そうでないのかをアセスメントします。

 

体位変換中はモニターを観察し、バイタルサインに変化がないか注意します。

 

体位変換後は、すぐにベッドサイドを離れず患者さんを観察し、呼吸状態や循環動態が悪化するようなことがあれば、体位を戻したり、医師に報告する必要があります。

 

 

 


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器』 編集/さいたま赤十字病院看護部/2021年3月刊行/ 照林社

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