オペ出しと点滴投与の時間が重なった!|ケアの優先度がわかる!新人ナースの動き方【2】

新人ナースが悩みがちな、多重課題への対応を紹介しているこの連載。

今回は患者さんのオペ出し(オンコール)と点滴投与の時間が重なった場面について、取り上げます。

 

 

執筆:永澤 成人

東京慈恵会医科大学医学部看護学科老年看護学助教

監修:上村 美穂

川崎市立多摩病院(指定管理者 聖マリアンナ医科大学)

教育担当副部長、集中ケア認定看護師

 

 

ケアの優先度がわかる!新人ナースの動き方

Vol.2  受け持ち患者Aさんのオペ出し(オンコール)とBさんの点滴投与の時間が重なった!こんなときどうする?

 

こんな状況に遭遇したとき、あなただったらどう対応しますか?

多重課題の場面。膝の手術後のAさんをトイレ介助に連れて行こうとしたら認知症のBさんにもトイレ介助に呼ばれました。

 

 

あなたなら【1】【2】どっちを選びますか?

 

 

※スクロール注意!解説あり※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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正しい優先順位

【2】Aさんのオペ出しを自身で実施し、Bさんの点滴投与をフリーの看護師へ依頼

 

 

 

悩みがちなポイント

今回は、突然受け持ち患者さんのケアが重なってしまった場面です。オペ出しは時間厳守のため、ただでさえ、新人ナースにとっては緊張が強いもの。とても焦る場面です。

 

ただ、オンコールとなる手術や検査出しの場合、いつ呼ばれるのかは、はっきりとはわかりません。事前の準備を済ませていても、他のケアと重なる可能性があります。

 

こういった場合は他の看護師の助けを借りる必要がありま今回は、フリーの看護師の先輩が声をかけてくれ、受け持ち患者さんのケアのどちらかを依頼できる状況でした。つまり、どちらのケアを先輩に依頼したらよいか、というのがポイントになります。

 

 

 

動き方の根拠

まず前提として、手術室看護師への申し送りは、受け持ち看護師が行うのがよいです。安全に手術を行うためにも患者さんの情報(アレルギーや薬歴など)に伝え漏れがないよう責任を持って行いましょう。

 

今回は、正解・不正解の場合もそれぞれの患者さんに必要な看護は提供されています。そのため、患者さんやご家族の不安に寄り添えているかが重要となります。

 

Aさんは、初めての手術で不安を抱えている様子です。不安や緊張が長時間続くと大きなストレスとなります。また、ご家族の心配そうな様子からも、手術前にできるだけ安心してもらうことが大切です。

 

受け持ち看護師であるならば、こうしたAさんやAさんのご家族の不安を事前に知ることができているのではないでしょうか。

 

そういった状況から考えると、受け持ち看護師が寄り添いながら、Aさんの言葉に傾聴し、手術室までの道のりを付き添うことが、Aさんにとっての安心につながります

 

★優先度を考えるポイント★

他のナースに自分の抱えているケアを依頼できる場合、より患者さんの「安全」と「安心」につながるような方法を考えましょう。

 

 

 

補足解説

突然ケアが重なったときでも余裕を持って対応するには、手術出し・検査出しの移動や申し送りにどのくらいの時間がかかるのかを把握しておくとよいでしょう

 

患者さんにも、事前にオンコールについて説明をしっかりと行っておくことが重要です。看護師だけでなく患者さんも、急に呼ばれても焦ることなく安心して手術に臨むことができると思います。また、患者さんの協力を得ることにもつながります。

 

また、フリーの看護師がおらず、すべて一人で行わなければならない場合には、点滴投与時間の多少の前後は許されるか、リハビリの時間をずらせないかといったことを検討する必要があります。そのためにも、受け持ち患者さんの点滴がどのような種類のもので、どのような治療のためなのか、事前に調べておくとよいでしょう。

 

日頃からこういったことを意識しておけると、突然ケアが重なった場合にも余裕を持って対処ができるかもしれませんね。

 


イラスト作成/パント大吉(イラストレーター)

編集/松下淳史(看護roo!編集部)

 

 

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