病理組織検査|検体検査
『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、病理組織検査について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
病理組織検査とはどんな検査か
病理組織検査とは患者から摘出された組織を用いて組織標本を作製し、これを顕微鏡観察して病理組織学的に病気・病態を診断する検査である。
検査材料は手術材料、内視鏡からの生検材料など様々だが、検索するのは主に病像が悪性か良性かであり、患者の最終診断となるとても重要な検査である。
病理組織検査の目的
病理組織検査の目的は、摘出された組織が良性か悪性か、その組織型は何か、また悪性ならば腫瘍の広がりの程度などを診断することである。
- ①摘出組織・臓器が悪性か良性かの判定
- ②治療方針の決定や、治療効果の判定
病理組織検査の実際
- 手術材料、内視鏡生検、外来生検、針生検などで採取された材料を10〜20%bufferホルマリンで固定し、必要な部分を切り出し、HE(ヘマトキシリン・エオジン)染色標本を作製する。
- 必要に応じ、特殊染色や免疫染色を行い、病理医が診断をする。
病理組織検査において注意すべきこと
固定
- 固定液は10〜20%bufferホルマリンを用意する。特殊な検査をする場合は必要に応じた固定液を用意する。
- 組織が乾燥しないように、速やかに固定液に入れる。
- 組織が固定されると硬化するので、容器は口の広い物を用意する。
- 固定液の量は組織片の10倍以上入れる。
その他
- 患者氏名、採取部位等を間違えないように容器に記入する。
- ホルマリンは刺激臭があり、劇物なので取り扱いには注意する。劇物は容器に「医薬用外劇物」と表示し、施錠できる保管庫で保管しなくてはならない。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版