2017/08/21 のクイズ

80代男性。在宅医療を受けており、肺炎で緊急入院になりました。仙骨部に褥瘡保有しており、大きさは4.3 cm、これに直交する最大径3.1cmで、形は楕円形です。創の90%は紅い良性肉芽で覆われていますが、創縁と創底には5mmほどの段差があります。創周囲に軽い発赤がありますが、腫脹はありません。滲出液を吸収させるために、1日1回ガーゼ交換を行っています。この褥瘡の発生要因と、局所治療法で間違っているのはどれでしょうか?
  1. 1. ポビドンヨード・シュガーを塗布する。
  2. 2. 肉芽形成促進材を塗布する。
  3. 3. 滲出液が中等量あるので、外用剤は油脂性の薬剤を選択する。
  4. 4. アルギン酸塩やハイドロファイバーアルギネートドレッシング材を使用する。

挑戦者3560人 正解率35%

1. ポビドンヨード・シュガーを塗布する。
不正解

この患者さんの場合、発赤という炎症徴候はありますが、他の感染の徴候(腫脹・疼痛・熱感、膿の貯留)はなく、感染は起こしていません。しかし、「1日1回のガーゼ交換を行っており、滲出液が中等量あることが分かります。ポビドンヨード・シュガーは、白糖の高浸透圧により、滲出液を減少させると共に、細菌成長阻害作用と、バイオフィルム形成抑制作用を有します。さらに、繊維芽細胞からのコラーゲン合成も促進させます。滲出液が減少するまでは、ポビドンヨード・シュガーを選択してもかまいません。しかし、滲出液が減少すると、創面が乾燥し、肉芽形成が障害される場合があるので、注意しましょう。また、患者さんにヨードアレルギーがないかどうかも注意しましょう。

2. 肉芽形成促進材を塗布する。
不正解

この患者さんの褥瘡は、創底と創縁に5mmの段差があり、皮下組織に至る創傷です。炎症徴候はありますが、感染はなく、創の90%は良性肉芽で覆われていることから、肉芽形成促進剤を使用し、さらに肉芽形成を進める局所療法を選択してもよいでしょう。

3. 滲出液が中等量あるので、外用剤は油脂性の薬剤を選択する。
正解

外用剤は基剤によって「油脂性」「乳剤性」「「水溶性」に大きく分類されます。外用剤の使い分けのポイントは、基剤による滲出液の吸収性の違いです。油脂性基剤の薬剤は水分を吸収しません。そのため、創が過湿潤となり、創周囲の皮膚も浸軟するため、創傷治癒が遅延します。乳剤性基剤は、水分の中に油を含むものは水中油型で親水軟膏、油分の中に水分を含むものは油中水型で吸水軟膏に分類されます。水中油型は乾燥した創面に水分を補給し、油中水型は補水機能は弱く保湿、保護機能を有しており、滲出液量が適正な創に使用します。滲出液が多い時は、水溶性基剤の薬剤を使用します。

4. アルギン酸塩やハイドロファイバーアルギネートドレッシング材を使用する。
不正解

アルギン酸塩やハイドロファイバーは、皮下組織に至る創傷に使用できます。吸収性に優れ、アルギン酸塩は自重の20倍、ハイドロファイバーは自重の25倍の吸水性を持っているドレッシング材です。またゲル化するため、交換時の疼痛は少なく、新生組織を損傷することもありません。適切な湿潤環境を維持しながら、創傷治癒を促進するドレッシング材として使用できます。

引用参考文献など

1)溝上祐子編著.創傷ケアの基礎知識と実践.メディカ出版,2011,222p.
2)安部正敏.たった20項目で学べる外用療法.学研メディカル秀潤社,2014,103p.
3)高橋愼一.溝上祐子編.外用薬“これだけ知って”選択の基準.自信をもって使い分ける!褥瘡・創傷におけるドレッシング材 外用薬の選び方 使い方.エキスパートナース増刊号,2015,18-25.

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