日常生活援助技術（91問）　食事と栄養

第106回午後69問

Aさん（61歳、男性）は、水分が飲み込めないため入院した。高度の狭窄を伴う進行性食道癌と診断され、中心静脈栄養が開始された。入院後1週、Aさんは口渇と全身倦怠感を訴えた。意識は清明であり、バイタルサインは脈拍108/分、血圧98/70mmHgであった。尿量は1,600mL/日で、血液検査データは、アルブミン3.5g/dL、AST〈GOT〉45IU/L、ALT〈GPT〉40IU/L、クレアチニン1.1mg/dL、血糖190mg/dL、Hb11.0g/dLであった。

Aさんの口渇と全身倦怠感の要因として最も考えられるのはどれか。

1.　貧　血
2.　低栄養
3.　高血糖
4.　腎機能障害
5.　肝機能障害

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解答・解説

1.　貧　血: Hbは11.0g/dLで基準値を下回っており、Aさんには貧血があると考えられる。貧血では全身倦怠感や易疲労は生じるが、口渇は生じない。よって、口渇と全身倦怠感の要因として貧血は考えにくい。
2.　低栄養: アルブミンは3.5g/dLで基準値を下回っており、Aさんには低栄養があると考えられる。低栄養では体重減少や疲労、倦怠感、冷え、下痢などが生じるが、口渇は生じない。よって、口渇と全身倦怠感の要因として低栄養は考えにくい。
3.　高血糖: 中心静脈栄養で用いられる高カロリー輸液は糖濃度が高いため高血糖となりやすい。Aさんは血糖が190mg/dLで基準値より高く、高血糖状態である。高血糖では、口渇や多飲、多尿、全身倦怠感、易疲労、体重減少が生じる。Aさんの口渇と全身倦怠感の要因は高血糖であると考えられる。
4.　腎機能障害: クレアチニンは1.1mg/dLで基準値よりやや高く、軽度の腎機能障害があると考えられる。軽度の腎機能障害では自覚症状に乏しく、高血圧や浮腫、貧血などがみられる。よって、口渇と全身倦怠感の要因として腎機能障害は考えにくい。
5.　肝機能障害: AST（GOT）は45IU/L、ALT（GPT）は40IU/Lで基準値よりも高く、アルブミンは3.5g/dLで基準値よりも低いため、軽度の肝機能障害があると考えられる。軽度の肝機能障害では自覚症状が出にくく、口渇と全身倦怠感の要因として肝機能障害は考えにくい。