災害と看護（35問）　災害各期の特徴と看護

第106回午後62問

Aさん（27歳、男性）は、地震によって倒壊した建物に下腿を挟まれていたが、2日後に救出された。既往歴に特記すべきことはない。注意すべき状態はどれか。

1.　尿崩症
2.　高カリウム血症
3.　低ミオグロビン血症
4.　代謝性アルカローシス

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解答・解説

1.　尿崩症: 尿崩症は、抗利尿ホルモンの分泌が低下して発症し、多尿などの症状がみられる。身体の一部が圧迫されて起こる挫滅症候群とは関係がない。
2.　高カリウム血症: 倒壊した建物の下敷きになった下腿の細胞が破壊され、細胞内に多く存在するカリウムイオンが血液中に流入するため高カリウム血症となる。高カリウム血症では致死的な不整脈や心停止が生じるため注意が必要である。
3.　低ミオグロビン血症: 倒壊した建物の下敷きになった下腿の細胞が破壊され、筋肉細胞内に多く存在するミオグロビンが血液中に流入するため高ミオグロビン血症となる。高ミオグロビン血症では特に腎臓への負担が大きい。
4.　代謝性アルカローシス: 倒壊した建物の下敷きになった下腿の細胞が破壊され、細胞内に多く存在するカリウムイオンが血液中に流入する。細胞の内外でカリウムイオンと水素イオンを交換するシステムがあり、細胞外液に増加したカリウムイオンが細胞内に移行し、その代わりに細胞内より水素イオンが細胞外液に移動し代謝性アシドーシスとなる。挫滅した細胞からのその他の物質が腎臓機能を障害すると、さらにアシドーシスが進行する。代謝性アルカローシスではない。