状況設定問題（173問）　精神疾患・障害の特徴と看護

第102回午後99問

次の文を読み問題3に答えよ。
Aさん（23歳、女性）は、大学受験に失敗して以来、自宅に引きこもりがちになった。母親は、Aさんについて「中学時代までは成績優秀で、手のかからない、おとなしい子どもだった」と言っている。両親と妹との4人で暮らしている。1年前から手洗いを繰り返すようになり、最近では夜中も起き出して手を洗い、手の皮がむけてもやめなくなった。心配した母親が付き添って受診したところ、強迫性障害と診断された。Aさんには極度に疲労している様子がみられたことから、本人の同意を得て、その日のうちに任意入院となった。

問題3
入院後1か月が経過した。Aさんはカーテンを閉め切って1人で過ごしていることが多いが、薬物療法や認知行動療法による効果が認められ、手洗い行為はほとんどみられなくなった。主治医、Aさん及び家族で話し合った結果、1か月後の退院を目指すことになった。

退院するまでの期間に参加を勧めるプログラムとして適切なのはどれか。2つ選べ。

1.　回想法
2.　森田療法
3.　就労移行支援
4.　家族心理教育
5.　生活技能訓練〈SST〉

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解答・解説

1.　回想法: 回想法は写真などを見て過去のことを思い起こすことで気持ちの安定や脳の活性化につなげる方法で、認知症のリハビリテーションなどに用いられる。
2.　森田療法: 森田療法は恐怖症、強迫神経症、パニック障害などの不安神経症、心気症などを対象として、「あるがまま」という心を育てることによって神経症（不安障害）を乗り越えていく治療法である。治療期間が3か月程度必要であり、現段階での参加プログラムには適さない。
3.　就労移行支援: 就労移行支援とは、障害福祉サービスの1つで、障害者への職業訓練制度であり、一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる者を対象としている。Aさんは現在のところ就労、就職についての支援は求めていない。
4.　家族心理教育: Aさんが退院し家族とともに生活を送るうえで、家族に対して、Aさんの疾患に対する理解を深めていくための心理教育は必要である。
5.　生活技能訓練〈SST〉: 生活技能訓練（SST）は、認知行動療法に基づいたリハビリテーション技法であり、精神に障害をもった者が社会で生活していくために、対人関係を良好に維持する技能を身につけ、自信を回復し（QOLを高める）、ストレス対処や問題解決ができるスキルを習得（再発防止）する目的で行われる。Aさんがストレスに対処する能力を身につけ、自信を回復することによって、強迫行為を改善する一助になる。