状況設定問題（183問）　急性期の子どもと家族への看護

第112回午前103問

次の文を読み問題1に答えよ。
Aちゃん（2歳、男児）は両親、兄（5歳）の4人家族である。3日前から発熱が続くため、母親と一緒に外来を受診した。診察の結果、川崎病と診断され、個室に入院となり左手背に点滴静脈内留置針が挿入された。入院中は母親が希望し、Aちゃんに付き添っている。Aちゃんにγ-グロブリン療法とアスピリンの内服が開始されることになった。看護師がγ-グロブリン療法の開始のために訪室すると、Aちゃんは不機嫌にぐずって泣いている。

問題1
γ-グロブリン療法の開始に伴う看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.　γ-グロブリン製剤の投与中もAちゃんと売店に行けると母親に伝える。
2.　留置針の自己抜去防止のために右肘関節に抑制帯を使用する。
3.　心負荷の軽減のためにAちゃんの経口水分摂取を制限する。
4.　心電図モニターの装着を確認する。
5.　留置針の刺入部を観察する。

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解答・解説

1.　γ-グロブリン製剤の投与中もAちゃんと売店に行けると母親に伝える。: γ-グロブリン療法の開始時には、アナフィラキシーショックを起こすことがある。γ-グロブリン製剤の投与中もAちゃんと売店に行けると母親に伝えることは適切ではない。
2.　留置針の自己抜去防止のために右肘関節に抑制帯を使用する。: 留置針の自己抜去防止のために右肘関節に抑制帯を使用することは適切ではない。抑制は、子どもの協力を得ることが困難な場合など、必要最小限にする。Aちゃんは不機嫌にぐずって泣いているので、遊びで気分を紛らわす工夫などをする。
3.　心負荷の軽減のためにAちゃんの経口水分摂取を制限する。: γ-グロブリン療法の開始時に、心負荷は症状として出現しない。心負荷の軽減のためにAちゃんの経口水分摂取を制限することは適切ではない。
4.　心電図モニターの装着を確認する。: γ-グロブリン製剤の重大な副作用にはアナフィラキシーショックなどのアレルギー反応がある。心電図モニターの装着を確認することは、適切である。
5.　留置針の刺入部を観察する。: γ-グロブリン療法として点滴が開始されたので、静脈内留置針の刺入部を観察することは適切である。

川崎病は乳幼児に好発する全身の血管の炎症によって引き起こされる病気である。小児期に多い疾患について特徴を理解しよう。川崎病では、免疫グロブリン製剤を大量投与することで早期の解熱と冠動脈障害が著しく減少することが確認されている。アスピリンの内服とγ-グロブリン点滴静脈内注射が開始されるが、γ-グロブリン製剤はアナフィラキシーショックを起こすことがあるため注意が必要である。