地域・在宅看護の概念（14問）　在宅療養者の権利の保障

第112回午前68問

Aさん（85歳、男性）は1人暮らしで判断能力が不十分である。4親等以内の親族はいない。

訪問看護事業所におけるAさんの情報管理で適切なのはどれか。

1.　成年後見人にAさんの訪問看護計画を説明する。
2.　地域の民生委員にAさんの経済状況を知らせる。
3.　Aさんの訪問記録を電子メールに添付して援助者間で共有する。
4.　新たなサービスの利用を検討する他の利用者にAさんのケアプランを見せる。

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解答・解説

1.　成年後見人にAさんの訪問看護計画を説明する。: Aさんは身寄りがなく判断力も低下しているため、成年後見人が、財産管理や身上監護などを担うことになる。身上監護のなかに、医療・介護等に関する手続きや契約がある。したがって、訪問看護計画についての説明を成年後見人に行うのは適切である。
2.　地域の民生委員にAさんの経済状況を知らせる。: 民生委員は民生委員法に基づき、厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員（無報酬）で、地域住民の抱える課題についての相談・支援活動などを行う。訪問看護事業所から直接、民生委員に個人の経済状況を知らせることはない。
3.　Aさんの訪問記録を電子メールに添付して援助者間で共有する。: 指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準には、保健医療サービス提供者等との連携に努めることと明記されており、情報共有は必要である。訪問看護契約書でも、契約者と情報共有についての承諾を得ている。ただし、訪問記録には個人情報が記載されていることもあり、個人情報保護の視点で、共有する方法には十分注意が必要であり、セキュリティ管理レベルの高いICTの活用が望ましい。電子メールに添付するのは、誤送信など情報漏洩のリスクがあり適切ではない。
4.　新たなサービスの利用を検討する他の利用者にAさんのケアプランを見せる。: AさんのケアプランはAさんの必要性に基づき計画されたものである。同時に、解説[3]の連携に該当するものではなく、他者にみせることは適切ではない。