状況設定問題（180問）　産褥期の看護

第111回午後106問

次の文を読み問題1に答えよ。
Aさん（32歳、初産婦）は妊娠39週4日に3,200gの男児を経腟分娩で出産した。分娩時に会陰切開縫合術を受けた。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後9点、5分後10点であった。分娩時の出血量200mL、分娩所要時間12時間30分であった。分娩室から病室に帰室する前に尿意を自覚したためトイレまで歩行し、排尿があった。

問題1
帰室時に看護師がAさんに行う説明で適切なのはどれか。

1.　「排泄後は会陰部を消毒しましょう」
2.　「会陰縫合部が痛くなったら温めましょう」
3.　「6時間おきにトイレに行って排尿しましょう」
4.　「悪露に血の塊が混じったら看護師に知らせてください」

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解答・解説

1.　「排泄後は会陰部を消毒しましょう」: Aさんには会陰切開による創部がある。創部を清潔に保つことは重要であるが、褥婦自身のセルフケアでの管理となる。悪露による汚染を防ぐために、こまめに産褥パッドを交換する、温水洗浄便座で洗う、シャワー時に洗う、などを行うとよい。
2.　「会陰縫合部が痛くなったら温めましょう」: 痛みがある場合は、無理せず鎮痛薬を使用する。また、縫合部の発赤や腫脹、出血の有無などの観察が重要となる。
3.　「6時間おきにトイレに行って排尿しましょう」: Aさんは帰室前に尿意を感じ、排尿もみられていることから、排泄機能は問題ない。産後の子宮復古を促すためにも膀胱に尿をためた状態にせず、排泄を促すことが大切である。6時間ごとでは間隔が長いため、3～4時間ごとに排尿を促す。
4.　「悪露に血の塊が混じったら看護師に知らせてください」: 悪露の塊がみられる場合、子宮収縮不良や、胎盤・卵膜の遺残などの原因が考えられる。そのため、塊がみられた場合は、看護師に知らせてもらう。

Aさんは正期産での出産である。児は3,200gであり、正常な発育発達で生まれてきている。Apgar〈アプガー〉スコアは出生直後の児の状態を評価するスコアで、1分後9点、5分後10点は正常である。また、5分後は神経学的予後の評価となり問題ないといえる。出血量は500mL以内であり正常である。分娩所要時間は初産婦の平均である。よって分娩経過は正常であったと考えられる。分娩後から産褥の正常な経過を理解していることが大事である。