状況設定問題（186問）　健康状態や受療状況に応じた高齢者の看護

第109回午前98問

次の文を読み問題2に答えよ。
Aさん（81歳、男性）は、妻（73歳）と2人暮らし。自宅でのADLは自立し、認知機能に障害はない。

Aさんは食欲不振と腹部不快感、微熱を主訴に受診したところ、急性胆囊炎と診断され、その日のうちに入院した。Aさんのバイタルサインは、体温37.3℃、呼吸数22/分、脈拍90/分、血圧136/84mmHg。入院後は絶飲食の指示があり、持続点滴静脈内注射と抗菌薬の投与が開始された。トイレ歩行の許可は出ている。

問題2
入院後2日、妻がAさんについて「入院してからよく寝ています。時々ここが病院だとわからないようです。話しかけても気づかず、天井を眺めていることもあるし、しゃべり続けることもあります」と看護師に訴えた。Aさんのバイタルサインは、体温36.9℃、呼吸数20/分、脈拍88/分、血圧144/80mmHg。

Aさんの状態で最も考えられるのはどれか。

1.　うつ病
2.　せん妄
3.　ナルコレプシー
4.　急性ストレス反応

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解答・解説

1.　うつ病: うつ病は、気分が落ち込んだり行動意欲が失われたりする気分障害の一種で、生活全般にわたり意欲が低下するものである。
2.　せん妄: 意識清明と昏睡との間に広がる意識障害のさまざまな状態を総称してせん妄という。せん妄では、思考の混乱、見当識障害、不安や多動によるまとまりのない行動、幻覚などの症状がみられる。高齢者では慣れない環境や急性疾患による身体変化により、せん妄を起こすことがしばしばある。
3.　ナルコレプシー: ナルコレプシーは青年期から若年成人期にかけて現れ、その後は生涯続くものであり老年期に突然現れることは少ない。特徴としては日中の強い眠気、怒り・驚きなど感情変化に伴う脱力（情動脱力発作）、入眠直後や起床時に体が動かなくなる（睡眠麻痺）などである。
4.　急性ストレス反応: 急性ストレス反応は、暴力的な被害にあった経験や災害の被災による恐怖が原因で起こるもので、失見当識や抑うつ、不安、激怒などの多彩な症状が混合して出現するが、通常数分で反応を起こし数日以内に消失する。