第103回追試 午前11問

解答・解説

1.　肝硬変

肝硬変によって肝機能が低下すると肝臓でのアルブミン合成がうまくできなくなり低アルブミン血症による浮腫や腹水が起こるが、初期症状ではない。肝硬変は初期の代償期にはほとんど症状がない。

2.　うっ血性心不全

うっ血性心不全は心臓のポンプ機能が低下し、全身に血液を十分に送ることができず、全身にうっ血をきたす。肺うっ血症状として労作時の息切れ・呼吸困難など、全身のうっ血症状として下肢の浮腫・体重増加などが生じる。なお浮腫は全身に起こるが、重力の影響で下肢から生じやすい。

3.　閉塞性動脈硬化症

下肢の動脈が閉塞する閉塞性動脈硬化症は下肢の疼痛・皮膚色の変化・冷感などが生じるが、浮腫は生じにくい。下肢の浮腫が起こりやすいのは深部静脈血栓症などである。

4.　Cushing〈クッシング〉症候群

クッシング症候群は副腎皮質からの糖質コルチコイドの過剰な分泌によって起こる。蛋白異化が亢進されると血管内皮の蛋白が減少し、毛細血管が断裂しやすくなる。そのため浮腫や皮下出血などが生じやすくなるが、下肢に特徴的ではない。また、脂肪合成の亢進により満月様顔貌や中心性肥満（体幹に比べて四肢は細い）も生じることもあわせて理解しておきたい。

浮腫を生じやすい疾患について、メカニズムも踏まえて整理しておこう。