国試合格祈願に最適？ 日本最古のナース神社の噂に迫るの巻 | 第103回看護師国家試験 準備号【６】

人知れず、看護師の神様がまつられた神社があるらしい

 

すべては、１通のメールから始まりました。

看護roo!編集部に、国試受験生を名乗る人物から、こんな依頼が寄せられたのです。

 

「先日、国試の合格祈願に行くために神社を調べていたのですが、

なんでも静岡に『看護師の神様』をまつった神社があるそうです。

でも看護師って西洋が起源ですよね？　

ウワサの真相を確かめてきてくれませんか？」

 

看護の神社！？　そんなの聞いたこと無いぞ…。

そもそも日本の看護師の歴史って、まだ100年そこそこでは？

そんな由緒正しき看護の神社なんてあるわけが…。

 

…ありました。

 

看護の神様がいるところ。静岡県浜松市　岐佐神社　

その神社は静岡県浜松市にある『岐佐神社』という場所。

まつられている看護の神様は、古事記に登場する、日本古来の神様らしい…。

 

チョット待て、古事記って紀元前のお話じゃないですか。

これが本当なら「看護の神様うんぬん」よりも、

「看護roo!探検隊・紀元前日本に看護師を見た！！」に記事タイトルを改めた方が良さそうですが、気にしません。

 

いずれにせよ、看護師国家試験の合格祈願にピッタリ。

看護学生の皆さんが、大学受験の高校生に紛れて合格祈願に行くこともなくなるのではないでしょうか！

 

というわけで、このたび、ウワサの真相を確かめに、

調査隊は現地に向かったのであります。

 

 

いざ浜松へ！

というわけで、やってきましたのは、静岡県浜松市。

ウナギとうなぎパイが美味しい浜名湖のすぐそばです。

 

目的の岐佐神社は、東名高速の浜松西インターチェンジから車でおよそ20分。

東海道線の弁天島駅からだと徒歩20分ほど離れた場所にあるというわけで、ここからは徒歩で向かうことに。

漁港風景を眺めながら歩いていると、あっという間に目的地周辺に。

 

「なんか美味しそうなこと書いてあroo！」とか言いながら閑静な住宅地を進んでいくと…

 

突然神社現る！

めちゃくちゃ住宅地のど真ん中に、いきなり鳥居が現れました。

 

何の前触れもありません。さすが、ミステリアスです。

近所の子供が遊んでいる声が聞こえる以外、とても静かな神社です。

 

別角度からどーん。
 

どことなく不気味な木々の下、参道の石段を上がっていくと…

んんっ、これはパワースポットの予感。

 

なんとも雰囲気のある拝殿。

927年に登載され、その後1498年、津波で流されてこの地に。

時の流れを感じる、由緒正しい佇まいです。

 

質素ながら手入れが行き届いた境内。

旬のつばきがところどころで花開き、厳粛ながらも温かく落ち着いた雰囲気をかもしています。

 

さて、肝心の神様は…

境内に、それらしきことが書かれた札を発見！

 

がしかし！
 

時の洗礼を受けすぎて、消えかけている…（汗）

 

 

看護の神様の名は、蚶貝比賣命と蛤貝比賣命

別の場所に、なにやら大きな岩と、新しくて読みやすい看板がありました。

 

この札の説明によると、この神社にまつられている看護の神様というのは、

蚶貝比賣命（キサガイヒメノミコト）と蛤貝比賣命（ウムギヒメノミコト）。

ヒメとつくように、どちらも女性の神様です。

 

古事記に残る言い伝えを紐解くと、

大黒様として知られている大国主命（オオクニヌシノミコト。出雲大社にまつられている有名な神様）が、他の神様たちのだまし討ちに遭い、巨岩の下敷きにされてしまった。そのとき、必死で介抱し、大国主を蘇らせたのが、ここにまつられているキサガイヒメとウムギヒメだったということです。

 

写真の岩こそ、まさに大国主命を押しつぶした赤猪岩。

当時は真っ赤に焼けていたそうで、大国主は大やけどを負い、瀕死。
 

キサガイヒメとウムギヒメは、赤貝の白い粉末とハマグリの粘液で膏薬を作って傷に塗ることで、治療したとのこと。

 

まさしく、神々の軟膏塗布・塗擦。　※熱傷ケア（III度）。

 

 

地元の人々には健康の神様としても親しまれる

境内を取材中、お守りを買っている中年ご夫婦を発見。

「何のお守りを買われたんですかー？」

「健康守じゃ」

知人の快復祈願にいらっしゃったそうで、「学業成就」ではありませんでしたが、この神社が「医療関係の神様として親しまれている」というお話を伺うことができました。

 

地元では、健康・長寿の神、また怪我・病気平癒の神と崇められ、どちらかというと、看護師よりも患者サイドからの信奉が寄せられているご様子。

他にも七五三とか、海が近いせいか海上安全・大漁祈願とか、若干カオスなのぼりたち。

…と、肝心な神社側の「看護の神様押し」が少々弱めではあるものの、

ネットで検索してみても、確かにウムギヒメとキサガイヒメは看護の神様、看護の祖として知られています。
 

キサガイヒメとウムギヒメの気になるお姿

下の絵は、青木繁という明治の画家がキサガイヒメとウムギヒメを描いたもの。

《大穴牟知命》1905年、石橋財団石橋美術館　蔵

 

おお、このお姿、まさしく看護師そのもの。

白い服に、ナースキャップがないのが逆に今風です。

「御軟膏を塗布されてたまへはべり」なんて声が聞こえてきそうです。

 

しかもこれなんて、

…完全に大国主命をファウラー位にしようとしています。

ギャッチアップなしでの華麗な介助、さすがです。

 

 

こぢんまりとした、知る人ぞ知る神社。

「学業成就」や「合格祈願」のお守りこそ売られていないものの、

国試の合格祈願に、はたまた合格後の「一人前の看護師になるぞー！」記念に、

浜松の岐佐神社を訪れてみてはいかがですか？

 

最後に、皆さんの合格と健康を祈願して…合掌！

 

岐佐神社

〒431-0211 浜松市西区舞阪町舞阪1973
ＪＲ弁天島駅より（1.2km）徒歩15分、または東名浜松西インターより車で20分
 

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