バタバタの毎日に幸あれ!|マンガ・ママナースもも子の今日もバタバタ日誌(最終話)

(これまでの話は▶コチラ

もも子が草壁先生のプロポーズを受けた日から時は経ち…

 

「さぁ今日は検査がたくさん入っているから雑務は先に済ませとこう」と尾田さんが皆に呼びかけました。ある1人の女性ナースが尾田さんに「あの…こんな時に何ですけど子供が熱出したみたいで」と言いました。

そんな彼女に、尾田さんは「いいよいいよ仕方ない!!何とかするよ」と答えると、彼女は「いつもすいません、ほんとうに…」と頭を下げて謝りました。その様子を見ていた他のナース達は「尾田主任!!あの人いっつも大変な時にああ言って抜けたり早く帰ろうとしますよね?」「いいんですか?絶対ズルしてますよ」と不満を言いました。尾田さんは「…うーんそんなことしないでしょ彼女は!!私にはわかる!!」
と答えました。

(なぜなら私が以前ズルばっかやってた人間だから同じ臭いのする奴はすぐにわかるのだ!!)と尾田さんは昔の自分を思い出しました。(でも何だかんだで今じゃすっかり主任という肩書きに恥じないようそういうズルはしなくなったし何よりズルする人の気持ちはよくわかる。そしてあの子達の気持ちもね)と尾田さんは思います。

(人間は弱い。強いと思うのは一瞬で基本的に弱いからすぐ妬んだり悪く言ったりする)と尾田さんは思いました。浜田師長は「あたしらみたいな人間には私達なりの戦い方があるのよ!!尾田!!」と言いました。浜田師長が言っていた(しぶとく生き残れば誰かコケた時に自分の番が回ってくる。誠実とか正義とかんなもん役に立つのは優れた人間だけよ)という言葉を尾田さんは思い出して考えました。

(浜田師長の言い分に賛否はあるだろうが正しさだけではどうにもならないことはある。皆、それぞれの人生と生きてそれぞれのセオリーで探している。それに尽きるのではないか。もも子は結婚して幸せに暮らしていると思っていたが)と尾田さんは皆のことを思い出し始めます。

(先生の実家とはうまくいかず離れて暮らしているらしいが、子供も増えて幸せそうだ。くるみは無事医学部に合格し、課題や勉強を頑張っているらしい…)と尾田さんは皆のことを考えています。くるみは(ぐぐぐ…一番派出だった私が一番地味な生活してる。みてろよ今に…)と思いながら勉強に励みました。

松本さんは育休後、地域連携室の室長として今も活躍中!!「あ、尾田さんランチ?一緒に食べよっかー」「こういうの久しぶりー」「ほんとねー」と、2人の関係も良好です。松本さんは家庭もうまくいっているようです。お昼を食べながら、松本さんが「下の子が発達遅くてさー。夫も心配してるんだけどねー」と言いました。尾田さんは「そうなんだ…」と返しました。(皆それぞれある…)と尾田さんは思いました。

松本さんは「そういえばモジャ先生開業したけど評判いいよ!!」と言いました。「あーなんかわかる」と尾田さんは答えました。松本さんが「それで結婚もしたんだよ」とモジャ先生のことを話します。それを聞いた尾田さんは「誰と⁉」と驚きました。「DVでかくまっていた女性らしい」と噂を話します。「…………はー」と尾田さんは驚いて口を開けました。

「あの頃キャッキャ言っていたのが懐かしい…」と尾田さんは昔を思い出して話します。「今はもうバラバラになったけど…楽しかったね…」と松本さんは言いました。「私はかわってないなぁ。相変わらず母と暮らしているし…」と尾田さんが言うと、松本さんが「ううん尾田さんは変わったよ!!」と言いました。「…そうかな…」と尾田さんが言うと、「うんすごく変わったよ。何か話やすくなったし優しくて頼れる人になったよ」と松本さんは笑顔で言いました。

尾田さんは松本さんに言われた言葉に照れながら(そうだとしたらあの時だな…変わりたいと思った時がハッキリとあった。皆みたくなりたかった。もも子みたいに話やすくて愛嬌があって)と思いました。

(松本さんみたいにしっかりしてて頼りがいがあって、くるみみたいに自立してて自分の考えがあって)(今思うと私の回りの人達は私に色んなことを目標として見せてくれていたのかもしれない)ともも子や松本さん、くるみ、青木師長、浜田師長のことを思い出しながら考えました。

(妬んだり見下してて見えなかったことが、苦しみ抜いたら見えてきたよ。そう思うとやっぱりあの人達に感謝したくなる。今ではもう昔のことで思い出すことしかできないけれど)と尾田さんは思うのでした。

それから時は過ぎ…。

「あーもうこんな時間!!かず君お仕度できた?」ともも子はかず君に服を着せながら言いました。かず君は「えーねむいー」と言いました。ソファで寝落ちしている光一さんを見て、「パパったらねてるよ」とかずくんが言いました。「パパは昨日一晩中夜泣き対応してたからね」ともも子は言うと、光一さんが「あ…ごめん寝ちゃった…」と起きて言いました。「いいのいいの!!寝てて!」ともも子は言いました。

「いつもママはバタバタしてるね」とかず君が言いました。「そりゃそうよ仕事に育児にやることたくさんあるからね!!」ともも子は答えました。(今日もバタバタ 明日もバタバタ。でもバタバタは幸せの音。羽ばたく羽の音)ともも子は思います。「じゃあねパパ。いってきまーす」ともも子は言って、かず君と家を出ました。

「はーい。いってらっしゃい」と光一さんは満面の笑みで言いました。

【おわり】

 

約4年間、ご愛読ありがとうございました!

 

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【著者プロフィール】

広田奈都美(ひろた・なつみ) HP

漫画家・看護師。某地方総合病院にて勤務後、漫画家としてデビュー。著書は「僕達のアンナ」(集英社)、「お兄ちゃんがコンプレックス」、「ママの味・芝田里枝の魔法のおかわりレシピ」(秋田書店)他。

 

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ブランク16年の私が看護師に復帰した話

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モンスター患者~みんなが困り果てた金田さんのこと~

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