扁平母斑|色素異常③
『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』(南江堂)より転載。
今回は扁平母斑について解説します。
光井俊人
関西医科大学附属病院形成外科学講座
Minimum Essentials
1褐色調の盛り上がりのない色素斑である。
2多くは出生時より存在し大きさや色調に変化はないが、時に多毛を伴い後天的に発生する。
3レーザー治療、削皮術などの治療法があるが再発率が高い。
4乳幼児期から多発する症例はレックリングハウゼン(von Recklinghausen)病などを考慮して精査を進める。
扁平母斑とは
定義・概念
皮膚からの盛り上がりのない、境界がはっきりとした淡褐色斑(図1)で、多くは出生時より存在し大きさや色調に変化はないが、時に多毛を伴い後天的に発生する。
原因・病態
原因としては、表皮基底層のメラニン色素の増加である。
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診断へのアプローチ
臨床症状・臨床所見
褐色斑の色調、大きさ、形状は多種多様である。しばしば褐色小色素斑をその局面上に有する。乳幼児期から多発する扁平母斑(カフェオレ斑)が6個以上あるときはレックリングハウゼン病を考える。
またマッキューン・オルブライト(McCune-Albright)症候群でもカフェオレ斑を認めるが、片側性で辺縁がギザギザしているのが特徴である。後天的に発生するものは胸筋部、肩甲部に好発し、有毛性のものをベッカー(Becker)母斑とよぶ。
検査
ダーモスコピーや生検による病理組織診断がある。
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治療ならびに看護の役割
治療
おもな治療法
Qスイッチルビーレーザーや削皮術があげられる。Qスイッチルビーレーザーの照射は有効であるものの、再発する場合が多い。
Qスイッチルビーレーザーと、5%ハイドロキノンの外用、0.1~0.4%トレチノインの外用を併用することは有効である。
合併症とその治療法
レーザー照射による水疱形成が起こる場合があり、軟膏塗布による治療が必要である。また、削皮術は肥厚性瘢痕を生じたり、色素異常をきたすリスクがあるため、慎重に行わなければならない。
看護の役割
治療における看護
レーザー療法後の色素沈着を防ぐため、日光への曝露を避けるように指導する。
フォローアップ
治療中に生じる不自然な色調に対しては、カバーマーク®のファンデーションやコンシーラーによる被覆が有効である。
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本連載は株式会社南江堂の提供により掲載しています。
[出典] 『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』 編集/瀧川雅浩ほか/2018年4月刊行/ 南江堂