ボーエン(Bowen)病|悪性腫瘍⑤
『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』(南江堂)より転載。
今回はボーエン(Bowen)病について解説します。
清原祥夫
静岡がんセンター皮膚科
Minimum Essentials
1緩除に経過する表皮内癌である。ヒ素摂取、ヒト乳頭腫ウイルスなどが発癌因子と指摘されている。
2表面がカサカサした紅斑〜褐色斑。進行するとびらんや結節を生じる。約10%は多発例である。
3治療は手術が第一選択である。
4表皮内癌のうちは予後良好だが、進行するとボーエン癌となり予後不良である。
ボーエン病とは
定義・概念
有棘細胞癌の表皮内癌である。進行するとボーエン癌となり、有棘細胞癌と類似の転帰をとる。
原因・病態
多発例でヒ素摂取、外陰部病変ではヒト乳頭腫ウイルス(とくにHPV16)の関与が指摘されている。白人では露光部に多いが、日本人ではむしろ露光部には少ない。
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診断へのアプローチ
臨床症状・臨床所見
類円形〜不整形の、淡紅褐色の軽度隆起した斑である。表面はカサカサして鱗屑を伴ったり、びらんを生じることがある(図1)。
結節や腫瘤を形成している場合は、表皮を超えて浸潤しているボーエン癌となっている。
検査
ダーモスコピー診断は有力な術前検査である。確定診断は腫瘍の生検による。浸潤癌が疑わしい場合はCT、超音波検査など画像診断を行い、転移巣の有無を確認する。
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治療ならびに看護の役割
治療
おもな治療法
早期(表皮内癌)のうちに完全切除すれば完治できるので、第一選択は手術である。高齢者で顔面に多発する例では、凍結療法やイミキモドなどの抗がん薬の外用療法が行われることもある。なお、浸潤癌に至った場合の治療は有棘細胞癌に準ずる。
合併症とその治療
内臓癌の合併を検索する。女性の場合、子宮頸癌のチェックも行う。
治療経過・期間の見通しと予後
表皮内癌としてきわめて緩徐に進行するので、この時期に完全切除すれば予後は良好である。しかし、進行癌の場合は予後不良である。
看護の役割
治療における看護
切除・植皮術が行われた場合は、「有棘細胞癌」で述べたポイントに注意しケアする。
フォローアップ
ヒ素摂取例やヒト乳頭腫ウイルスが感染した例では多発することがあるので、長期の経過観察により新たな病変の出現を注意深くチェックするよう指導する。
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本連載は株式会社南江堂の提供により掲載しています。
[出典] 『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』 編集/瀧川雅浩ほか/2018年4月刊行/ 南江堂