皮膚悪性腫瘍患者への看護|悪性腫瘍①
『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』(南江堂)より転載。
今回は皮膚悪性腫瘍患者への看護について解説します。
清原祥夫
静岡がんセンター皮膚科
皮膚悪性腫瘍患者での一般的な看護対応
治療とそれに伴う合併症、およびその対応
治療には手術、放射線療法、化学療法が選択される。手術後3週間ほどで退院となることが多い。放射線療法、化学療法を併用する場合は、治療期間はさらに長くなる。
手術に伴う機能的・整容的問題に対しては装具やエピテーゼ、義髪などを考慮する。術後のリンパ浮腫には早期からのリハビリ指導・介入が有用である。放射線療法に伴う皮膚炎には適切な外用療法が必要である。
化学療法による有害事象の多くは可逆性のものであるが、血液検査などにより、慎重にモニタリングしながらそれぞれの予防や治療を行う。
看護の役割
治療における看護
致死的疾患の場合でも、早期にはとくに生活の制限はない。規則正しい生活を送り、ストレスをためないようにアドバイスする。
治療は身体的・精神的苦痛を伴うため、治療を継続できるように患者と家族へのさまざまな指導と精神的サポートを心がける。
(1)手術
手術後、同一体位をとることや排泄などに苦痛を伴うため援助する。
術創部の安静・保持、患肢浮腫の予防、ギプス障害(しびれ、痛み、浮腫、阻血)に留意する。
高齢者の場合、抗凝固薬を内服していることが多いので、術後の出血に注意する。
(2)放射線療法、化学療法
悪心・嘔吐、脱毛、骨髄抑制などの副作用出現による身体的・精神的苦痛が予想されるので、治療前のインフォームド・コンセントをしっかり確認する。
副作用に対し適切な処置を行い、患者が安心して治療を受けられるように支援する。
フォローアップ
退院時には、術創部の清潔・保護のための指導や教育、またリハビリの指導を行う。
退院後しばらくは、疲れたら無理をしないですぐに横になるようにする、軽い運動や簡単な家事をしながら体力の回復に努める、などのアドバイスをする。
外来での治療では、治療期間は一般的に長期にわたることが多い。継続治療の必要性と、医師の指示を守るよう説明・指導する。また感染予防として、手洗いやうがいをこまめに行う、部屋を清潔にするなどの指導が必要である。
次回受診時の注意点、検査や他科受診の予約確認などを患者および家族に十分伝える。
末期患者は、疼痛や衰弱により日常生活全般にわたって介助を要する。可能な限りQOLを尊重したケアを行う。在宅療養を望む場合、介護支援体制を整え、最期まで家族との生活を送れるように援助する。
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本連載は株式会社南江堂の提供により掲載しています。
[出典] 『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』 編集/瀧川雅浩ほか/2018年4月刊行/ 南江堂