丹毒|細菌感染症④

『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』(南江堂)より転載。
今回は丹毒について解説します。

 

池田政身
高松赤十字病院皮膚科

 

 

Minimum Essentials

1おもにβ溶血性連鎖球菌による、真皮浅層に限局した化膿性の炎症。

2疼痛を伴う鮮紅色の浮腫性紅斑で、顔面に好発する。

3治療はペニシリン系抗菌薬の全身投与を行う。

47~10日で軽快するが、糸球体腎炎や心内膜炎を合併することがある。

 

丹毒とは

定義・概念

真皮浅層に限局した化膿性の炎症。

 

原因・病態

おもな起炎菌はβ溶血性連鎖球菌であるが、黄色ブドウ球菌が原因のこともある1)皮膚創傷を通して真皮浅層に感染し、炎症が及ぶ。

 

 

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診断へのアプローチ

臨床症状・臨床所見

顔面に好発する疼痛を伴う境界明瞭な発赤、腫脹を認め、時に頭痛や発熱を伴う2)図1)。

 

図1 顔面の丹毒

顔面の丹毒

 

検査

病変部からの細菌培養は困難である。末梢血液像、肝機能、腎機能、CRP、血糖値、検尿などの各種検査を行う。

 

 

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治療ならびに看護の役割

治療

おもな治療法

ペニシリン系抗菌薬の内服および点滴を行うが、効果に乏しい際はニューキノロン系抗菌薬やST合剤なども用いる。

 

合併症とその治療法

糸球体腎炎の発症を予防するため、治癒後10日間は薬剤投与を継続する。

 

治療経過・期間の見通しと予後

2~3日の治療で反応し7日ほどで軽快するが、効果に乏しい場合は薬剤を変更する。

 

看護の役割

治療における看護

患部の冷却により疼痛のコントロールを行い、安静を保つ。発熱の有無や皮疹の推移を観察する。

 

 

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引用・参考文献

1)黒川一郎:蜂巣炎,丹毒.日本臨牀 別冊 感染症症候群(第2版)下,p.527-530,日本臨牀社,東京,2013

2)井上多恵:顔面の丹毒.逃げない!攻める!皮膚科救急テキスト(出光俊郎編),p.70-73,文光堂,東京,2017


 

本連載は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』 編集/瀧川雅浩ほか/2018年4月刊行/ 南江堂

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