睡眠時無呼吸症候群(SAS)
『本当に大切なことが1冊でわかる呼吸器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は睡眠時無呼吸症候群(SAS)について解説します。
吉川奈穂
さいたま赤十字病院10F西病棟看護師
呼吸療法認定士
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
睡眠時無呼吸症候群(SAS;sleep apnea syndrome)とは、睡眠中に無呼吸と低呼吸(いびき)を繰り返す疾患です。
SASは、1時間あたりの無呼吸(10秒以上の気流停止)と低呼吸(気流が10秒以上50%以下に減少し、基準値から3~4%以上のSpO2低下もしくは覚醒反応を伴う状態)の回数の和であるAHI(apnea hypopnea index)が5以上で診断されます。
重症度はAHIから決定され、5以上15未満は軽症、15以上30未満は中等症、30以上は重症と分類されます。
SASは睡眠中の病態から睡眠中に上気道が閉塞する閉塞型(OSAS;obstructive sleep apnea syndrome)と呼吸運動(横隔膜)そのものが消失する中枢型(CSAS;central sleep apnea syndrome)に大別されます。本症のほとんどがOSASであるため、ここではOSASを中心に解説します。
肥満、閉経後の女性、扁桃肥大、アデノイド、下顎の狭小、脳血管疾患、心不全などで好発します。
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患者さんはどんな状態?
日中は傾眠、頭痛(高二酸化炭素血症による血管拡張のため)が生じます(図1)。
睡眠中は激しいいびき、無呼吸、異常な体動、夜間の頻回な覚醒が生じます。
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どんな検査をして診断する?
表1の症状と、ポリソムノグラフィ(PSG)での検査(図2)で診断されます。
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どんな治療を行う?
AHIが20以上の場合は持続的気道陽圧療法(CPAP;continuous positive airway pressure)の導入が第1選択となります(表2、図3)。
AHIが20以下の場合には口腔内装置(マウスピース)が第1選択となります。
しかし扁桃肥大などの上気道疾患が原因の場合には手術を検討します。また、OSASで原因が肥満である場合は、減量が必須となります。
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看護師は何に注意する?
生活指導では、側臥位での就寝を促し、アルコールや睡眠薬の使用を禁止します。
無呼吸に伴う低酸素血症、夜間の頻回な覚醒により、不整脈、高血圧、虚血性心疾患、脳血管疾患などの合併症を生じることがあるため、注意が必要です(図4)。
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の看護の経過
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の看護の経過は以下のとおりです(表3)。
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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
書籍「本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器」のより詳しい特徴、おすすめポイントはこちら。
[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器』 編集/さいたま赤十字病院看護部/2021年3月刊行/ 照林社