過敏性肺炎
『本当に大切なことが1冊でわかる呼吸器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は過敏性肺炎について解説します。
佐野由紀子
さいたま赤十字病院10F西病棟看護師長
慢性呼吸器疾患看護認定看護師
過敏性肺炎とは?
過敏性肺炎は、職場環境、住居環境にある真菌、細菌、動物性蛋白、化学物質などの反復吸入により気道が感作され、アレルギー反応が細気管支から肺胞にかけて起こることにより発症する、びまん性肉芽腫性間質性肺炎です。
memo:びまん性肉芽腫性間質性肺炎
左右の肺に比較的均等に病変が広がり(びまん性)、肺胞壁に炎症が起こって肉芽腫を形成する病態。アレルギー反応が関与しており、慢性化すると肉芽形成から線維化に進むと考えられている。
特定の場所、時期において発症し、入院などで環境が変わると自然軽快しますが、一度帰宅するなどして再び抗原に曝露されると増悪するのが特徴です。
あらゆる年齢に発症しますが、特に、40、50歳代に多くなっています。
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患者さんはどんな状態?
経過により、急性型と慢性型に分けられます(表1)。急性型は大量の抗原に、断続的・短時間に曝露された場合に生じます。慢性型は少量の抗原に、持続的・長期間にわたって曝露された場合、潜在性に進行して生じます。
過敏性肺炎の病態は図1のとおりです。
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どんな検査をして診断する?
X線で両側びまん性のすりガラス陰影がみられます(図2)。
高分解能CT(HRCT)で小葉中心性の粒状陰影、すりガラス陰影がみられます。
気管支肺胞洗浄(BAL)で、著明なリンパ球の増加がみられます。
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どんな治療を行う?
抗原から隔離するため、原則入院とします。
大掃除や防じんマスク使用、動物の飼育中止、加湿器や空気清浄機の清掃などを行うよう説明・指導します(表2)。時に住居の改築が必要になることもあります。
memo:夏型過敏性肺炎
5~10月に、カビの生えた木材や畳により発症する過敏性肺炎。
memo:農夫肺
干し草や飼料により発症する過敏性肺炎。
memo:鳥飼病
鳥、鳥の排泄物、羽毛布団、クッション、枕により発症する過敏性肺炎。
急性期では、自然軽快がみられなければステロイドを投与します。
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看護師は何に注意する?
呼吸困難の有無を確認します。
既往症を聴取し、原因となる可能性を想定して生活環境について確認します(表3)。
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過敏性肺炎の看護の経過
過敏性肺炎の看護の経過は以下のとおりです(表4-1、表4-2、表4-3、表4)。
表4-3 過敏性肺炎の看護の経過(一般病棟・自宅療養(外来)に向けて)
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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
書籍「本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器」のより詳しい特徴、おすすめポイントはこちら。
[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器』 編集/さいたま赤十字病院看護部/2021年3月刊行/ 照林社