人工呼吸療法中の口腔ケア
『本当に大切なことが1冊でわかる呼吸器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回人工呼吸療法中の口腔ケアについて解説します。
勅使河原育美
さいたま赤十字病院ICU看護師
呼吸療法認定士
口腔ケアの意義・目的
人工呼吸療法中の患者さんは、常時開口した状態になることで口腔内が乾燥し、鎮静薬、麻酔薬、副交感神経遮断薬などの影響で唾液の分泌が低下することにより、口腔内の自浄作用が低下します。
口腔内の自浄作用の低下により、口腔内にバイオフィルムが形成されることで、人工呼吸器関連肺炎(VAP;ventilatorーassociated pneumonia)の原因となります。そのため、口腔ケアを行ってVAPを予防する必要があります。
気管挿管している人工呼吸器管理の患者さんは経口摂取ができないため、口腔ケアで刺激を与えることで、唾液の分泌を促し、摂食・嚥下機能の低下を予防します。
口腔ケアの必要物品(図1)と手順(図2)は以下のとおりです。
挿管チューブの巻き直しの方法は図3のとおりです。
memo:バイトブロックの固定方法
一体型(挿管チューブにはめこむタイプ)ではないバイトブロックは、挿管チューブと一緒に固定すると、患者さんが舌でバイトブロックを押し出した際に挿管チューブの自己抜去につながるため、別々に固定する。
口腔内の観察ポイントは表1のとおりです。
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
書籍「本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器」のより詳しい特徴、おすすめポイントはこちら。
[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器』 編集/さいたま赤十字病院看護部/2021年3月刊行/ 照林社