気管支鏡検査
『本当に大切なことが1冊でわかる呼吸器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は気管支鏡検査について解説します。
井上章子
さいたま赤十字病院放射線・内視鏡センター看護師長
どんな検査?
気管支鏡検査は、X線やCTで異常陰影が見られ、肺がんや感染症、炎症などが疑われる場合に行います(図1、表1)。
気管支鏡を口や鼻から挿入して主気管、気管支へと進め、直接気管支や末梢部の観察をし、組織や細胞を採取して診断を行います(表2)。
気管支が狭くなっている場合などは、そのまま治療を行うこともあります(表3、図2)。
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検査の実際
検査前の準備
絶食、検査同意書、休薬の有無を確認します。
気管支鏡検査前の確認事項として、身長、体重、血液検査、腎機能、抗凝固薬の使用の有無、感染症の有無、CT・X線、心電図、既往歴を確認します(表4)。
気管支鏡の機種を確認し、処置具を準備します(表5)。
検査には患者さんの協力が必要なことを説明します。
検査着に更衣し、金属やプラスチックのついた肌着は脱いでもらいます。
義歯は除去します。ただし、ぐらつきのある歯には義歯を装着したまま検査を行う場合もあるため、医師に確認します。
気管支鏡の検査の流れは表6のとおりです。
検査後の注意点
バイタルサインをチェックし、麻酔から覚醒するまで安静にします。通常は検査後1時間はベッド上安静とし、麻酔回復スコアで評価します。
咽頭麻酔の効果がなくなるまで、検査後2時間は禁飲食とします。その間は唾液は飲み込まず出すように指導します。2時間後に飲水テストを行い、異常がなければ禁飲食を解除します(医師の指示により変更される場合もあります)。
出血や気胸の出現に注意し、バイタルサイン、喀血、胸痛、酸素飽和度に注意します。
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看護師は何に注意する?
医師と情報を共有し、リスク評価、既往歴、抗凝固薬使用・休薬の有無などを確認して検査に備え、安全・安楽な検査を実施します。
検査によって発生する合併症を理解し、予防と早期発見に努めます(表7)。
院内感染防止のため陰圧室を使用し、器具の洗浄・消毒を徹底します。
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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
書籍「本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器」のより詳しい特徴、おすすめポイントはこちら。
[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 呼吸器』 編集/さいたま赤十字病院看護部/2021年3月刊行/ 照林社